マニハール産 アイスクオーツ

¥264,000

マニハール・アイスクォーツ
ヒマラヤの高地、限られた季節と気候のわずかな均衡の中でしか形成されない結晶。
氷が溶けて再び凍るように姿を変えながらも、六角の秩序を保ち続けた希少な大型個体です。
その均衡が訪れるのは自然界においてほんの一瞬。
この結晶が育まれた年月と、形成に必要な条件のすべてを思うと、
出会えたこと自体が奇跡といえる、静かな輝きを宿した一点です。

説明

ヒマラヤ山脈の麓、標高三千メートルを超えるマニハール渓谷。

昼夜で数十度も変化する極限環境のなかで、氷河の水がゆっくりと鉱脈に染み込み、十万年以上という時間をかけて、このアイスクォーツは生まれました。

その過程で、結晶は一度“溶ける”ように形を崩し、再び固まる瞬間に、氷のような質感を宿します。
それはまさに、変化と安定が拮抗する一点でのみ生まれる構造です。

この個体が特に稀少なのは、氷状の質感を保ちながらも、六角柱の輪郭が明確に残っていることです。
通常のアイスクォーツは、溶蝕が進む過程で原型が完全に失われます。

しかしこの石は、溶け切る寸前で再結晶し、外側の形が変わっても、内部の秩序—水晶が本来もつ六角形の構造—を保ち続けました。外的な影響に柔軟に応じながらも、自らの軸を失わなかった個体。この「変化と不変の共存」にこそ、自然の美しさが宿っています。

それは私たち自身の在り方とも重なります。
外の環境や人の影響を受けながらも、内側の秩序を保つこと。頑固に自分を守りすぎず、かといって流されて形を失うこともない。

まわりと調和しながらも、内に確かな軸を持つ。
この石は、その状態こそが“整っている”ということを、静かに教えてくれます。

変わることも、守ることも、どちらも間違いではなく、両方があるからこそ、私たちはより自然に、より美しく存在できるのだと、この石が教えてくれているようにも感じます。

さらにこの個体は、長さ約120ミリ、幅約60ミリという堂々たるサイズを保ちながら、先端部まで欠けることなく完形のまま存在しています。

マニハールの鉱脈は非常に脆く、大型結晶は採掘時に崩壊してしまうことが多いため、このサイズで氷状構造と六角形の形跡を併せもつものは、まさに奇跡的な存在です。

マニハールは標高三千メートルを超える険しい山岳地帯にあり、採掘そのものが容易ではありません。
採取される水晶の中で、氷状構造(アイスクォーツ)として形成されるものは全体の約5〜10%。
さらに、その中で六角形の原型を残す個体は2〜3%程度に限られます。そして、100mmを超える完形サイズのものとなると、全体の約0.001〜0.003%(十万個に一つあるかどうか)と言われています。

まさに、自然が偶然の均衡を許した瞬間にしか生まれない、奇跡的な結晶です。自然界の一瞬の均衡がつくり出した、地球の奇跡的なアートピース。

変化と不変が循環する、その一点に生まれた石。
マニハール・アイスクォーツは、「整う」という言葉の本当の意味を、静かに体現してくれているようにも思います。

そして、この石は手に取ると分かります。
何かを押し付けるのではなく、優しく私たちを包み込んでくれるような暖かさを感じさせてくれる。

台座付きの一点です。

Size:長さ 約 120mm × 60mm × 60mm
Weight:554.5g(約0.55kg)